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2021-12-17 09:51:00
読書散歩【4】斎藤幸平著「人新生の『資本論』」(2021/6)
【4】斎藤幸平著「人新生の『資本論』」集英社新書。2020年(2021年6刷)
「人新世」(Anthropocene)のとは「人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代」のことだそうである。新聞の広告欄で目に留まって読み始め、経済にはまるでうとい私でも、最後まで読み進むことができた。中央公論社「新書大賞2021」にも選ばれたようだ。読みやすい文章だとはいえ、「はじめに――SDGsは「大衆のアヘン」である」という言葉から始まるこの一冊を理解するには、再読、再再読も必要だろう。けれども、一昨年末から世界中を覆う新型コロナウイルスによって生じた災禍のなかにあって、この本を読むことで出口のないトンネルの「先」が見えるような気がした。
ちなみに、先日、NHKスペシャル「ビィジョンハッカー~世界をアップデートする若者たち」(2021年5月16日放送)という番組を、再放送で観た。世界各地で「貧困の連鎖」に立ち向かおうする若者たち。「利益追求より社会貢献を」と行動する、彼らデジタルネイティブの姿は、斉藤幸平氏の説く「コモン(共)」とか「脱成長コミュニズム」に繋がる「今」だったのではないか。
追記;その後、『未来への大分岐』(集英社新書、2019)も読む。斎藤浩平幸平氏とマルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソン各氏がそれぞれ対談している。「資本主義の終わりか、人間の終焉か?」のサブタイトルのついたこの新書もまた、対談という話し言葉で書かれているせいかすんなりと読めた。けれど、実は難しいであろうその内容を、自分の言葉に置き換えることなどは到底できない。